Arts and Crafts, Food and Styling, Tradition and Originality

フードスタイリスト

文字サイズ:

フードスタイリストという仕事

フードスタイリストとして、働いて早20数年経ちました。

スープ中2
photo by Yoji Kobayashi
cooking by Yukari Inoue

 最初の始まりはQP3分クッキングの番組の裏方です。その当時の朝一番の仕事は、手打ちのアルミの鍋を大中小30個くらいぴかぴかに磨くことでした。そして先輩に習って番組冒頭の料理の皿を洗い、テーブルクロスや、お料理の先生方のエプロンにアイロン、調味料を計り、お弁当の用意をして・・・あっという間に一週間分の収録が終わると夜になってしまうのでした。

 だんだん裏方のベテランになってくると、テレビカメラに映らないぎりぎりの外側に張り付いて、調味料を出したり、空のボウルを引いたり、ガスに火をつけたり、お料理の先生が「このまま15分ほど煮ます」と鍋にふたをして、ガス台がカメラに映っていないことを確かめると、その間にそっと15分煮た別の鍋に差し替えたり・・・もしも調理台に大豆が転がれば、カメラに映っていないことを見届けて、長い菜ばしでビシッと調理台の外へはじき出しました。

 私にとっては本当に心臓に悪いドキドキの仕事でした。運動神経の良い人は、瞬間的に体がぱっと動くのでテレビ向きだと思います。
 
 さて前置きはこのくらいにして、本当に多くの方々、先輩のお陰でたくさんのお仕事の機会をいただき、ここにも載せきれない多くのチャンスを頂きました。若気の至りで,失敗、失礼もたくさんしてきました。

 その当時の先輩方、同年の方々、本当にご迷惑おかけしました。そしてありがとうございました!!



フードスタイリストってどんな仕事?

 自己紹介の際、自分の仕事の説明をすると100%「素敵な職業ですね」と皆さんおっしゃいます。
しかし現場は優雅なものではありません。はっきり言って肉体労働です。
たくさんの食器をエアーパッキングして、しょっちゅう引越しのように荷造りしてはほどき、撮影が終ったらまたパッキングして戻す。テーブルクロスは、かさばるとかなり重たいのです。撮影中は立ちっぱなしの時もあります。
ある有名な料理家の先生が、「ここで習ったこと?立って寝ることですね」とおっしゃっていたように、体力がなければ勤まりません。


 そして雑誌、単行本、テレビ、広告、これらの仕事はチームワークが大切です。料理家、編集者、ディレクター・・・相手の話をよーく聞かないと、方向性を間違えてしまいます。相手がどういうイメージを持っているかをなるべく引き出して、具体的に小道具で表すのがスタイリストです。そしてそれには多くの引き出しを持つことです。スタッフの希望、予算、時間などの決められた範囲内で、最大限に楽しくパズルを組み立ててゆくような作業です。


 日本料理の引き出し、韓国料理の引き出し、エスニックの引き出し、ヨーロッパの田舎料理の引き出し・・・テーブルセッティングの自然な空気感を出すための小道具を選ぶのは、モノの質感、色、厚みに興味を持つことではないかと思います。多くのモノを見て、触れてみる。詳しくは、スタイリングのマイブームで触れてゆきます。


powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional