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梅のお重と屠蘇器

梅のお重と屠蘇器

こちらはお世話になっている料理研究家の先生からお預かりした、とってもかわいらしい梅の柄の4段のお重と、屠蘇器の修理です。


少々緊張しながら丁寧に修理していきたいと思います。




梅の柄の4段重


お母様の代から毎年お正月に出して、お重はおせちを詰めるだけでなく、その時期になると菓子器としても活躍するとのこと。蒔絵(まきえ)の色合いと、螺鈿(らでん)の薄い青の貝の光がなんともおしゃれです。



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まず修理箇所を見つけます。漆がはげ落ちています。
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これらは軽傷です。はがれた箇所と漆表面の小さな傷の箇所は空研ぎし、生漆とテレピンを混ぜたものを塗っておきます。
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乾いたら紙やすりで研いでから、二辺地粉と漆を混ぜたものをつけ、さらに研いで下塗りします。
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下塗りが乾いたら研ぎ、中塗りします。これは裏側。
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表側のはげていた箇所も中塗りします。
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少しづつ修理が進んできました。
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屠蘇器の盆



お盆の真ん中の筋はヒビ。木は4~5年に1㎝動くそうです。いつも使っていると水が通りますが、普段使いではないものは木が乾燥してゆくのですね。
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まずヒビが入っている箇所は、V字に彫り周囲をマットになるよう研ぎます。少し残酷なように見えます。今回は美しい蒔絵を汚したくないので、マスキングします。
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裏面にもV字に彫り、周囲をマットになるまで空研ぎします。もっとマットになるまで研がないと。
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そして脇も。
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V字の溝に、生漆とテレピンを混ぜたものを付けたあと、刻苧(こくそ)します。生漆、おかゆ、木の粉を練りこんだものを埋め込むのです。裏側から。
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こちらは表側。刻苧(こくそ)したあと、研いで平らにします。
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今のところ満身創痍なお盆です。

裏側に布着せをします。糊漆を伸ばしたところにサイズを測って切った麻布を置き、それをゆっくりと裏側と裏の脇に貼り付けます。
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布着せした上を軽く研いで平らにしてから、糊漆を再度薄くつけます。色が濃くなりました。
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乾いたら研いで、さらに二辺地粉と生漆をつけます。だんだん平らになってきました。
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やっと下塗りです。
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こちらは表側。朱色というよりエビ茶色に見えますが、これが年月を経て朱色に変わってゆくのです。漆の特徴です。
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裏側の下塗りが乾いたら研いで、凸凹を埋めるために、砥の粉と生漆をまぜたものをつけます。
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やっと中塗りです。
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何度か塗りと研ぎを繰り返し、やっとここまできました。
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ここまでくれば、ほぼ完成です。
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屠蘇器



屠蘇器の取っ手の片方が、本体からはずれています。丸い口に直線の取っ手を組んだ構造は、年月が経つと木が動くことと、中にお屠蘇を入れた時の重みではずれやすいのだと思います。
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傷の部分は注意深くサンドペーパーで空研ぎします。
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片口の両側の傷も、梅の柄に気を付けながら空研ぎです。
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取っ手のはずれた箇所に表と裏側から刻苧(こくそ)をします。このまま数日乾燥です。
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乾燥したところを研いで、麻の布を糊漆で布着せします。はずれていた部分をしっかりと固めます。
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二辺地粉と生漆をつけて研ぎ、砥の粉と生漆をつけて研いだ後は下塗りです。
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下塗りが乾いたら研いで、中塗りします。
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はずれていた部分や漆がはがれていた部分が、元の形になってきました。色は時がたつとともに、なじんでゆきます。これが本当の漆の特徴です。
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盃の台



盃を置く台は、上の丸いところがはずれています。
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こちらは糊漆ではりつけて、空研ぎしておきます。
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二辺地粉と生漆、砥の粉と生漆をつけ、研いだら下塗りです。
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中塗りです。
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