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ブログ 95歳のつぶやき 天知る

ブログ 95歳のつぶやき 天知る

主人の父は95歳。

病院ではどこも悪いところがない。血圧も血糖値も全ての数字がパーフェクトだ。風邪もひかない。デイサービスに行くのは嫌、他人にお風呂に入れてもらうのも嫌、好きな時間にお風呂に入り、好きな時間にご飯やおやつを食べ、好きなテレビ番組を一日見る。

しかし最近脚が弱り、テレビの前に一日座ったままだ。
ある日夕方遅く帰宅した時に、全身が濡れたまま床に転がり、震えているのを発見してから、私は長時間留守にするのが恐ろしくなった。
父は一度滑ったり、尻餅をついたりすると、もう自力では立ち上がることができない。トイレにも行けずそのまま床に寝ているしかないのだ。
その日私が出かけたのが午後1時。帰宅が7時。一体何時間こうだったのだろう?そう聞くと、
父は「昼前の10時からだからもう、半日以上こうだったんだぞ!これはいつか殺人だぞっ!」
すべて大げさに言う癖はあるとしても、少なくとも数時間はこうだったのだ。なんてことだ。
そしてこうなったのは、お前たちのせいだと叫んだ。
私が「お父さん、脚の筋肉が弱るから昼間は家の中で歩いたりしようね。握力を付けるためにクルミを握ったりしようね」と言うと、
「やってますっ!」と必ず言うが、一日中うたた寝とテレビなのだ。
そして1時間おきに、「おーい、何か食うものくれ」とお茶タイム。食欲は私たち夫婦よりある。

私は最低限行かなければいけない仕事や打ち合わせ以外、家に居て父の様子を見るような生活に徐々に変えつつある。以前はなんの因果でこうなった?と思っていたけれど、今は腹をくくっている。このライフスタイルも経験の一つなんだと思うようになった。
仕事との両立で、必死に父の翌日のお昼ご飯やおやつを、変化をつけて毎回用意していると、
父は「わかりにくい。毎日同じコンビニのお握りを置いていって欲しい」と言う。
心のどこかで少しは感謝してもらいたい、と思う時もあった。
しかし父の気持ちは、「嫁なんだから、女なんだからこれは当たり前のこと」。
こちらが良かれと思ってやっても、気に食わないと怒りをぶちまける父を見て、これも経験の一つだと思うようになった。

父が月に一度お金の精算をしてもらう日に、教えてくれた。
「この言葉を覚えておきなさい。”天知る、地知る、我知る、汝知る”って三国志の後漢で出てきたんだ。どんなに上手に嘘をつこうと思っても必ずわかってしまうんだぞ」
それって私たち夫婦が不正してるってことか?
でもこの言葉はポジティブに受けとっておこうと思う。天はすべてお見通しなのだ。だから感謝されなくても、ありがとうと言われなくても全然大丈夫なのだ。

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