Arts and Crafts, Food and Styling, Tradition and Originality

ブログ 95歳のつぶやき 真夜中の攻防戦

ブログ 95歳のつぶやき 真夜中の攻防戦

主人の父は95歳。

夜と昼の時間の流れが完全に変だ。
体内時計がずれている。

最近明け方4時、5時にトイレに起きると、1時くらいに寝たはずの父がテレビの前に座っている。まだ真っ暗な中で、テレビの光を顔面に受けて何やらモグモグ食べている。
ある時は、冷蔵庫の中の光で顔を照らされながら物色している。息を殺して観察していると2分、3分ずっと冷蔵庫の扉は開け放たれたままだ。

今日、私は朝早く出かけて、仕事から戻れるのは夕方近く。
だから昨晩のうちに、父が好きな半熟ゆで卵、サンドイッチ2切れ、おにぎり2個、プラスお饅頭、煎餅、ジャムパン、プリンなどを用意しておく。父は空腹になると好きな時間に自分で食べてくれるのだ。
夕方暗くなってから帰宅するのは気がひけるが、仕事の場合仕方がない。せめて機嫌よく留守番していて欲しいから数種類のモノを、この日はコレ、と数日前から考えている。
ところが最近、父はあまりの食欲で夜中から1人で起きて何か食べるようになってしまった。
夜中の1時に寝て、4時に起きたのでは3時間しか寝ていない。しかし昼間テレビの前で時代劇チャンネルにしたまま、こっくりこっくりしているから、夜は眠れないのかもしれない。

私が「お父さん、まだ4時ですよ。今起きちゃうと寝不足になりますよ。もう少しベッドで寝てたら?寝不足は足にきますよ。いつかも寝不足の翌日は足がグラグラして滑っちゃったでしょ?」
父「それは一般論。オレはそうじゃないから」
「あんたの事ですよ・・・」と心の中で突っ込みながら私は驚く。昨日は単語の羅列だけの会話とはほど遠い反応だったのに、今日は急に文章を話し始めた。
父「それより共同生活をしてるんだから、もう少しオレの事を考えたらどうだ。一体お前達は何時に帰ってきたのか?オレは昨日の夕方から何も食ってないんだぞっ!」
と逆襲。
私「お父さん、昨日は3人で晩御飯食べたよね?クリームシチューだったでしょ?12時か1時頃、お父さんはおやすみ~って寝たじゃない?忘れちゃった?」
父「いや、絶対食ってないぞ!食ってま・せ・んっ!」

このようなやりとりはスルーすれば良い。しかし夕方までの留守食を、その日の朝のうちに食べられてしまったら、本当の飢餓感を味あわせる事になる。そして朝の忙しい時間帯に、再度何かを作らねばならない。
私は対立感は持ちたくないのだ。できれば融和路線で父とうまくやっていきたい。
しかし何としても食料は死守しなければ。
父は身をかがめる事が出来ないから、冷蔵庫の一番下の野菜室の奥の奥に、おにぎり、パン、デザートは隠せる。出かける直前にサンドイッチは主人がトースターで焼いてあげて、玄関の涼しい場所に置く。おにぎりは炊飯器の保温状態の中に、ゆで卵は前の晩にゆでて殻をむいて、やはり出かける直前に冷蔵庫の父の目線の高さに置く。そして父宛にメモを書いて残すのだ。これはここに、これはここに有りますよ…と。
お留守番用の全ての食料は、前日から隠して隠して隠しまくる。

そして今日、父がニコニコしながら話しかけてきた。
「冷蔵庫の一番下は、めぐちゃんの秘密基地なんだね?」
私「…」
笑顔を作りながらぞっとした。敵はこちらの武器庫を完全に見破った。
明日から作戦変更だ。

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