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ブログ 95歳のつぶやき デイサービスがそんなに嫌か?

ブログ 95歳のつぶやき デイサービスがそんなに嫌か?

主人の父は95歳。

彼は相変わらずヨシナリ宇宙の中心で、光輝く星として君臨している。
先週は、お風呂の湯槽に入ったまま、気持ちが良いものだから出てこなくなってしまった。
私が「お父さん、のぼせちゃうから出ませんか?」と聞いても、
父「いやまだまだ」と答える。10分経ち15分経ち、何回か声をかけた後、案の定全身がふやけて腰抜けになってしまった。私が父の背中から両腕を抱えて湯から身体を引き上げようとすると、
「わーっ!危ない危ない!触るなよ!」
と怒鳴る父。
湯槽のヘリに座らせようとしてもずり落ちること10回あまり。あきらめずに私は父の背中から両腕をひっかけて持ち上げたが、何度繰り返しても成功しなかった。そして全体重が私にのしかかる。「もうこれ以上は無理」と判断したが、放っておくわけにもいかず、必死の思いで50キロの重みを抱えるようにして居間までたどり着いた。その間何度も
「お父さん、ちゃんと立ってみようと思ってみて。そうでないと私はもうこれ以上支えられない。もう駄目だ!」と悲鳴をあげた。父は身体はぐにゃぐにゃのまま
「何言ってる!頑張れ!!」と私を叱咤激励。
「お前が頑張れ」と言うジミー大西の声がこだまする。

そのうちに私の身体前面がびしょ濡れになり、暖房設備も古い我が家は足が冷え始め、そのうち寒気を感じ、その日私は治りかけた風邪をぶり返した。
落ち着いた後、父に「お父さん、私はもうお風呂は無理です。デイサービスのプロにお願いしましょう。私にはお父さんを支えられないよ」と正直に伝えた。
父は「オレの面倒見るのが嫌なら、この家を売ってお前らとはオサラバだ」と、また急な展開。
「オサラバ!なんて素敵な響き」と心の中で言ったが、口では
「お父さん、お風呂ごときでなんでそんな極論?おかしいでしょ」
と笑いながら伝えた。
父は無言だった。

この時からちょうど1ヶ月後、ヨシナリは本当の星になった。
95年の人生に終止符を打ったのだ。

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