Arts and Crafts, Food and Styling, Tradition and Originality

ブログ 92歳のつぶやき 気配

ブログ 92歳のつぶやき 気配

92歳の主人の父は、マメだ。

私の留守中、いろいろなことをキッチンでしてくれる。
流しの上の洗い物をふせて置く棚の、乾かしておいたタッパー類を食器棚に入れる。几帳面な父にとっては、出しっぱなしが嫌なのだ。 
しかし、とんでもない場所に入れてくれるので、
「アレの蓋がないっ!」 「この蓋の本体がない!」
と後で私が焦ることになる。
引き出しの箸が仕切りの中で、ばらばらと転がっているのが気になるらしく、菜ばし、食事用箸、うるしの箸が、なんと種類別に輪ゴムでとめられていた。
私の実家の母が妙なところだけ神経質で、輪ゴムに触れない人だったので、子供の頃からキッチンに輪ゴムは有り得ないモノだった。だから最初発見した時はぎょっとした。

私が家で仕事をする日、父が動く音が聞こえる隣の部屋にいることにしている。
なぜなら気配を察知するためだ。
父が冷蔵庫を開ける音、大好きな甘酒を出して、日本酒で割って電子レンジに入れる音。
食器を洗う音、拭いて食器棚にしまう音、ゆっくりゆっくり歩きながら、その間ずっと湯沸かし器の流しのお湯は出したままだ。時々その一連の作業が終って、父がテレビの席に着いた後も流しの音が止まらない。そんな時は部屋から出て行って、何ごともなかったように私は蛇口を閉める。留守じゃなくて良かった・・・とホッとする。いつだったか私たちが留守をしていた時、3時間出しっぱなしだった。その月の水道料、ガス代はもちろんグーンと上がったが、それは私達が同居したから上がった、というのが父の説だった。
水道局から、「何かあったのでは?」と電話がかかってきたこともあった。

「食器を拭くのは、これでお願いします」と食器布きんを何度も見せ、父に拭いて見せたが、父が1人の時、台布きんで食器をごしごしと拭いているのを発見。
今日も「もしやっ!」と思ってそっと見ると、カップを拭くのに台布きん使用!
私はまた、何ごともなかったように、そのカップを出して水をくんで何かしてるフリをして、もう一度洗う。
なぜかトイレ掃除用の雑巾が、食器棚の前にかかっていた時は、身の毛もよだつ思いがした。
フード関係の仕事をしている私には、到底受け入れ難い。

父のお陰で、食器の出しっぱなしは止めた。
台布きんも毎日消毒するようになった。
トイレ用雑巾は目立つように、真っ赤なタオルで作ろう。それまでは隠しておこう。
隣の部屋で、お父さんが動く微かな音で、何をしているのか気配を感じ取れるようになった。
お父さんありがとうございます(涙)!!

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