Arts and Crafts, Food and Styling, Tradition and Originality

ブログ 93歳のつぶやき ポジティブと毒

ブログ 93歳のつぶやき ポジティブと毒

主人の父は93歳。

その毒舌とパワーによって周りの人を苦しめてきた。
主人の母、主人、弟も。
大正生まれの九州男児だから、もしかしたらよくあるタイプなのかもしれない。
父の発言は人の心をえぐる、そして相手に圧迫感を与え押しつぶす。
あまりにも内容が過激でここには書けない。
「言ったことは全部自分に帰ってくるよ」
「今どきそんなこと言ったら、警察に捕まっちゃうよ」
「いつかピストルで撃たれるよ」
と私は心の中で反論してみるが、口に出しては言わない。
でも時々、私は家に帰りたくなくなる。
「あーこのままどこか遠くに旅に出たらリフレッシュするだろうな」
と空を見上げつつ、いつものスーパーで買い物をして、本屋と100円ショップをのぞいて帰宅。
そんな時、一生懸命父の良いところを探してみる。すごいと思うのは、常にポジティブだということだ。
外食中に、トイレに間に合わなくて粗相をしてしまったことや、酔っ払って腰が抜けてしまったことは、全然覚えていないのだ。
良きこと(父にとって)だけ覚えていて、何度も話す。
「俺はこんなにスゴイんだよ」的な話で始終盛り上がる。
日本人の名誉や、安部総理の明るい話題は大好きで、シリアスなドキュメントは、チャンネルを変えてしまう。
言ったことや、やったことは全部自分に帰ってくるという真理がこの人に当てはまらないのか、それとも全部帰ってきてるのに、それを抱えて平気で生きているのか。
そんな父は時代劇が大好きだが、『鬼平犯科帳』のような胸にぐっとくるストーリーや、ただの正義の味方ではない、金を受け取って他人の恨みを晴らす、やり方が残虐な『必殺仕置き人』や『仕掛人・藤枝梅安』がお気に入りだ。でも毎日、将軍吉宗が、町人に扮して悪い奴を最終的にやっつける『暴れん坊将軍』もかかさず見ている。
ある日主人が父に言った。
「やっぱり暴れん坊将軍は安心して見てられるっていうか、安定してるよね」
しかし父は言った。
「こんなモノ、俺にとっちゃぁウエハースみたいなもんだ」
「やっぱり」と私たちは納得。
下衆な毒舌芸人として、最近名をはせてきた”ウーマン・ラッシュアワー”の最新DVDの広告を、ふと思い出した。
「シアワセな人は、決して、観てはいけません」

    コメント


    認証コード7581

    コメントは管理者の承認後に表示されます。

    powered by Quick Homepage Maker 5.1
    based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

    最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional