Arts and Crafts, Food and Styling, Tradition and Originality

ノレル・グダイティス

ノレル・グダイティスの夢の中のキング

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Norell Gudaitis     

Norel name card
©Norell Gudaitis

描き始めたのは74歳
それからは毎日描いてるの

 コネチカットの小さな町のアートギャラリー・Artwell(アートの泉)では毎月、“オープンマイク・ナイト”を開催している。ある夜スパンコールのロングドレスで現れたノレルは、なつかしのブルースのメドレーを熱唱。拍手喝采を浴びた。楽しかった思い出に、アートウェルのエグゼブティブ・ディレクター、スチュアート・ウィルソンにお礼がしたかった。
自らペイントした木のティッシュボックスを贈ったその日、彼女は画家として誕生した。

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©Packet Corporation
スチュワートがプレゼントされたティッシュボックス

 ノレルにティッシュボックスをプレゼントされたスチュアートは、ラッピングをほどいた途端目を見張った。あまりに純粋で無垢なペイントに心動かされたのだ。
彼女の歌が人を楽しませるのと同じ、彼女の絵は人を微笑ませる。なんだかわからない幸せな気分にさせる“心”が入っている。
 スチュアートは現役アーティストとして活動し、またこのギャラリーで、ディレクターとして多くのアーティストの作品を見つめてきた。直感に似た何かが彼をつき動かした。
「彼女は絵を描くべきだ」
そして彼女の家を訪ねたのだった。

Norel with her painting 1
©Packet Corporation
ノレルが持っているのは、お気に入りの東洋人女性。イメージが復活祭の日、心の中に降りてきた。薄紫のドレスというか、着物のようなものをまとっている。

 
 老人が多く住むアパートで一人暮らしをしていたノレルは、アメリカの、大手チェーンスーパーマーケットでパートタイムの仕事をしていた。74歳だった。木のティッシュボックス、絵筆、絵の具もすべて、そのスーパーマーケットの文具売り場で買ったもの。
彼女は言った。
「あのボックスには私の祖母の顔を描いたのよ」。

norel 5
©Packet Corporation

 彼女の生まれはアラバマ州だ。
幼児期の強烈な歌との出会い以来、彼女の人生にはいつも歌とダンスがあった。自費製作のCDデビューもしている。その昔彼女がまだ5歳の頃、黒人シンガー、キャブ・キャロウェイが町にやってきた。当時でも有名な歌手だったが、黒人差別が激しかった南部では黒人はホテルに泊まれない。
それで、なぜか彼女の家に泊まることに。
小さかった彼女を膝に乗せて歌を歌ってくれた。「彼は私の初恋の人、そう、私のキングなの」。

Norel name card
©Norell Gudaitis
彼女の名刺はキャブ・キャロウェイ

 彼女の絵には亡くなったキング(ご主人のこと)、そしてキャブ・キャロウェイがある時は恋人のように、ある時はきらびやかな世界のシンガーとして、多く登場する。スチュアートが惹きつけられたようにその登場人物はチャーミングでファンタジックだ。
「どうやって描き始めるの?」と聞くと
「何かが降りてくるのよ。たくさんの顔を描くけどそれは私自身に結びつくこと、抽象的な絵は地球に結びつくことなの」

norel 2
©Norell Gudaitis


Norel woman in red
©Norell Gudaitis
復活祭の夜に、彼女の心に降りてきた、もう1人の東洋の女性。赤いドレスと金色の髪飾りが気にいっている。

Norel faces
©Packet Corporation
楽しいたくさんの顔、顔

Norel tea for two
©Norell Gudaitis  
「二人でお茶を」

 描くことが彼女にパワーを与え、元気だから今日も描くのだ。そして何より人に微笑む“心”を与えてくれる。
彼女の絵を見ていたら以前見たことがあるアフリカの彫刻や、お面を思い出した。どれも底抜けに明るい顔だ。
儀式で大地の歌を歌い、踊り、自然と交信するために彫られたものだという。お面の持ち主はどこへ行くにもそれを持ち歩く。それは自分と先祖や遠い魂とのつながりを感じる媒体であり、平穏な気持ちを授けてくれるものでもあるのだ。
後にこのアフリカのお面はピカソやクレーに深いインスピレーションを与えた。

 彼女の部屋のトイレに入ったら、便器の蓋の内側(便器側)になにやら黒人らしき男が描かれていた。
「この人は?プリンス?」 
「ノー!」 
「ウィル・スミス?」 
「ノー! ウサマ・ビンラディンよ!」

 歌と絵が彼女の人生。いつでも見る人々を仕合せな気分にさせる。コネチカットの地方ケーブルTVにも出演。評判を聞きつけたアートギャラリーのオーナー達からオファーがひっきりなしだ。
個展のたび彼女の絵は売れるのだ。79歳の現在も毎日描いている

彼女の作品展を開いてみたいギャラリーのオーナーの方、興味がある方はこちらへ
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